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第69話  好きと嫌いの境界線

last update Petsa ng paglalathala: 2026-08-06 19:00:42

「……あ、そろそろ行こっか」

朱里はカフェの紙コップをゴミ箱に捨てながら、努めて明るく言った。

けれど、その声にはどこかぎこちなさが混じっている。

モールのざわめきが、彼女の動揺を誤魔化してくれているようだった。

嵩は隣で穏やかにうなずく。

「うん。帰り、駅まで送るよ」

「い、いいよ! 近いし」

「どうせ同じ方向だし」

淡々とした口調なのに、なんだかズルい。

“どうせ”って言葉ひとつで、心の距離を勝手に近づけてくるのだから。

──朱里は知らないうちに、また心をくすぐられていた。

モールのエントランスを出ると、秋の風が頬を撫でる。

さっきまでの騒がしさが嘘のように、外は静かだった。

「そういえば、望月さんの話──もう終わったのか?」<
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